振り返りの時間のなかで
制作しながら、ふわっと揺れ動く白い布が目に入る。暫く眺めて涼をいただく。実際の風は生ぬるいのだが、、。
布という素材について。
洋裁を始めたころは、見た目重視で、デザインと次に気になるのは色でした。続けているうちに、いろんな素材を扱うようになって、同じデザインでも質感によって、雰囲気はずいぶん変わるものだと実感してからは、素材からデザインを探ることが多くなってきました。
そして、フジイさんの染めたモスリンに出会ったことは、素材をもう一度見直すきっかけになりました。
モスリン自体、名前も魅力的なのですが、軽やかで、フジイさんの染めが施されたモスリンは、軽やかさにしなやかさがプラスされた、魅力的な存在でした。
布といっても、いまや数えきれない程の種類がありますが、強度、伸縮性、通気性や保温性等々の機能性があり、至る所に使用されているものです。そういった布と、素材自体が雰囲気のあるもの。例えば、写真のカディやモスリンとか。
風を捉えて揺れ動くカディ。そのひとときまでも形どるかのようで、そんな布の扱いは、それに相応しい用途を加えるに留めることが、最善であるかのように思う。(カディも厚みはいろいろ。窓辺のカディについて)
モスリンは、軽やかでいて、張りもある。生活に馴染む質感で、そのまま使用しても美しいのですが、フジイさんが染めたモスリンは、大胆な動きがあって、布の特徴をより引き出した、しなやかな作品。出来るだけ広い状態で見たくなる。空間演出に使うのが最善なのかも。そう思いながらも、モスリンは、張りがあるのも特徴で、ドレープも綺麗にでるし、フジイさんの染めも生かせたら、素敵な服ができるだろうなと。昔は着物で多く使用されていましたが、もう少し立体的な方が向いていると解釈し、試行錯誤しながらモスリンの服が出来上がりました。fujii+fushikino
これをきっかけに、服づくりに対するアプローチに奥行きがでてきました。素材を生かす、着心地の追求、雰囲気を作る。
この一年、今までの価値観を一旦リセットしたくて、なるべくニュートラルでいるように心がけてました。そうすることで、見えてきた自分にとっての普遍性。
機能的なものから情緒的なものまで、多岐多様に使える布は、ルーズなメモリもカバーしてくれるような気にさせる、懐の深い素材。そのような布を扱うことが、服作りを続けている理由の一つであったこと。
もう一つ。
服は、自分を表現するツールのひとつでもある。ひとは、見た目から入ることが多い。自分を知っていると、服の選び方で、主張したり、控えめにしたりコントロールできる。表現するツールでもあり、機能的サポートと、心のサポートもしてくれる。ひとの気分や気持ちと、どんなものを必要としてるのか、探りがら、着る人の佇まいを見ていきたいのでした。
今月は、要望を形にすることが優先テーマ。10月に参加するイベント[ひびとひとびとの感謝祭]監修の喜代子氏からのリクエスト、こんなのあったらよいなと格闘中。
イベント内容と、出来上がり具合はまたお知らせします。
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